
合成着色料とADHD・子どもの行動問題の科学的根拠
ここ数年、合成着色料(人工着色料)が子どものADHDや行動問題と関連しているという科学的証拠が増えています。今回は、最新の研究や政策動向をもとに、この問題について詳しく解説します。
- 科学的な報告と研究の進展
• カリフォルニア州環境保護庁(OEHHA)の報告書(2021年・2025年)
カリフォルニア州が2021年に発表した報告書では、「合成着色料の摂取が一部の子どもに過活動(多動)やその他の神経行動上の問題を引き起こす」と結論付けられています。OEHHA長官のLauren Zeise氏は「証拠は、合成着色料が一部の子どもに悪影響を及ぼすことを示している」と明言しています。 - • ヒトを対象とした「チャレンジ試験」
子どもを合成着色料フリーの食事に切り替え、その後再び着色料入り食品を摂取させて行動変化を観察した研究では、「一部の子どもは明らかに行動が悪化する」ことが示されています。
• 動物実験の知見
合成着色料は、動物実験でも「活動性・記憶・学習能力に影響を与え、脳内の神経伝達物質や微細構造に変化をもたらす」ことが確認されています。
• 欧州連合(EU)の規制と評価
EUは「合成着色料とADHDの関連を示す証拠は十分に信頼できる」と結論づけ、着色料を含む食品にはADHDリスクの警告表示を義務化しています。 - どのような子どもが影響を受けやすいのか?
• 感受性には個人差
すべての子どもが影響を受けるわけではなく、「特定の子どもが特に敏感」であることが分かっています。遺伝的要因も関与している可能性が指摘されており、イギリスの研究では「一部の子どもは遺伝的に着色料の影響を受けやすい」と報告されています。 - ADHD診断率の上昇と社会的背景
• ADHD診断率の増加 アメリカでは過去20年でADHDと診断される子どもの割合が6.1%から10.2%に増加しています。この背景には、食品添加物の影響だけでなく、診断基準の変化や社会的要因も絡んでいますが、合成着色料の役割が注目されています。 - 政策と今後の動き
• アメリカやカリフォルニア州の規制強化 カリフォルニア州や西バージニア州では、学校給食から合成着色料を排除する法律が成立しています。アメリカ連邦政府も2027年までに主要な合成着色料の排除を食品メーカーに求めています。
• FDAの基準見直し 現行の「一日許容摂取量(ADI)」は35〜70年前の研究に基づいており、最新の行動影響を十分考慮していないと指摘されています。
「合成着色料が子どもの行動に悪影響を与える可能性がある」という科学的根拠は、年々強まっています。特に感受性の高い子どもやADHD傾向のある子どもには注意が必要です。今後も各国の規制や食品業界の動向に注目していきましょう。
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